こんにちは。

ILCHI 希望の手紙  ILCHIメッセージからお送りします。

歴史に名を残した統治者の多くは、国の運営にあたって「尺度」の統一に力を入れました。
複数の部族や民族をまとめて国を作ると、バラバラだった重さを量る秤(はかり)、
体積を量る升、長さを測るモノサシなどを一本化したのです。
それによって、部族の垣根を越えた経済取引が活発になり、国家形成がスムーズになりました。

歴史上、人間同士の紛争は経済上の取引の不公平感から発生することが多いです。
しかし、優れた統治者たちによって尺度が統一されると、
取引の基準がはっきりするため、もめごとが減りました。

今も、世界では地域ごとに違う単位が使われています。
長さを測るのに一部地域ではメートルとキロメートルが用いられ、
別の地域ではフィートやマイルが採用されています。
同じ肉を売ってもキログラム単位で売るところがあり、ポンド単位で売るところがあります。
少し不便で面倒ではありますが、お互いの換算基準がはっきりしているので、
もめごとにはなりません。

むしろ争いの元になるのは、尺度で測定できないものです。
例えば、私たちの生命を維持するのに
不可欠である汚染されていないきれいな自然環境の価値はどれほどでしょうか?
健康な暮らしに役立つ望ましい社会観の価格はいくらで、
宗教で扱う救援と永世の価格はいくらでしょうか?

これらは、尺度はもちろん、
市場経済において価値を決める「価格」でもはかることができないものです。

別な言い方をすると、ほんとうに大事な価値観については、
一定の基準となる尺度が存在しないということです。
いわゆる「中心価値」が存在しない状態です。

私たちが事物を認識し、価値判断をするということは、秤に物をのせるようなものです。
自分の秤に物をのせて、その重さを量るのです。
だから、当然、価値は異なっていきます。
しかし、それは一人一人の秤が完全でないからではなく、
秤の目盛りがゼロに合っていないからです。

秤の目盛りがいつもゼロを指す必要はありませんが、のせたのに下ろすのを忘れるのは問題です。
ゼロが分からないと、価値基準を持てなくなるからです。
誰でも皆、初めは完全なゼロ点から出発しますが、
様々な人生を経て数限りなく秤で量るうちにゼロ点の感覚を失い、
最終的には自分の上に何かをのせても、のせていることが分からないようになるのです。

だから、私たちは意識的にゼロ点を回復することが重要になります。
ゼロ点を回復するのは、互いに異なる価値を公正に比較し、
評価できる価値の中の価値、すなわち中心価値をもつことを意味します。

今まで私たちは人間が万物の縮図だという基準で自らを定義し、
自分と周りの世界の関係を定義してきました。
自分を他のものと分離した個体として認識する人間、
周りと対立した関係を形成し競争する個人としての人間としてとらえてきました

その結果が、現在の様々な問題を抱える地球です。
今、私たちに必要なことは、人間が地球の中心ではないという事実を認め、
調和の中心点を見つけることです。

その中心点は、人間ではなく地球です。
地球で営まれる私たちの人生におけるすべての価値評価の基準は、
自分の人格、観念、思想、宗教、国家ではなく、地球です。
この新たな中心点が私たちの行うすべての活動や取引で比較の基準にならなければなりません。
そして、このような基準で新たに定義された人間は特定の集団の構成員である前に、「地球人」です。

地球は私たちのものではありません。
私たちがしばらく使えるよう許可されたのであり、お金を払って買ったのではありません。
許された期間に得たのは、より広い土地やより高い建物ではなく、
その何とも変えられない、その何にも破壊されることのない内面の成長です。

私たちが使うものすべて、環境、資源、技術はもちろんのこと、
時間や空間までこのような成長のための道具として使うことを許されたのです。
だから、私たちにはよく使い、原状回復し、もとに戻す責任があるのです。

皆がゼロの目盛りを持っていれば、宇宙全体の取引の秩序が正されます。
人間同士だけでなく、多くの生命と大地と天との正しい取引ができます。
ゼロの目盛りを指す多くの秤がまともに作動し、
物質と情報が公正に交流される世界が私たちの望む平和と調和の世界です。

そのためにまず私たち皆がゼロの目盛りを指す秤にならなければなりません。
ゼロの意識、地球人の意識を持つ必要があります。
このような意識が普遍的な常識になるとき、ようやく真の地球村が成り立つのです。

人生のすべての領域で正しい取引が成立つためには、
まず自分が完全な秤であり、自分が持っている観念の重さのせいで
秤の目盛りがゼロ点に合っていないことを分からなければなりません。

互いに異なる価値を比較し、評価できる価値の中の価値、
中心価値は個人の人格、思想、宗教、民族を超えた地球以外にはありません。
地球を中心に据えるとき、ようやく私たちはゼロ点を指す公平な秤を持てるのです。

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